6 赤チン
吉田慶明先生は、とてもきさくで、ものわかりのいい先生であった。 西山校舎は古く、廊下も薄暗かった。特に雨の日は、床には油をひいてあったので滑りやすくもあった。なかでも一階の宿直室前は、暗い上に床下の木が腐っていてブカブカしていた。そこへ、宿直あけの先生が職員室へ行こうとして出てきて、破損寸前の床板を踏み抜いた。金の延べ棒をすりむいた先生が保健室へ何とも言いようのない顔で現れた。 治療を終わったとたん、 「高原さん、こいが本当の赤チンたい」
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