我が心のウィーン

南  隆


 私は音楽の都ウィーンに足を運んだのは今回で四回目となる。人生を全うするまでになお五回は行きたい、それ程大好きな都市だ。

 訪問の最初は一九八三年夏、私の所属する合唱団が当時日本人の出演が極めてまれであった有名なザルツブルグ音楽祭参加の途上、ウィーン市で開催されていた第一回日本文化フェスティバルに参加し我々の演奏がオーストリア国営放送局全国ラジオネットで放送された時だ。
 また、最新の訪問は、本年正月合唱団がスロバキア、ジリナ市でのニューイヤーコンサート出演へ向かう途上、雪のウィーンに滞在し、大晦日は大衆レストランで各国民入り乱れてビールとワインのどんちゃん騒ぎの国際交流。しかし、元日の十時には、とある教会でモーツアルトの戴冠ミサ曲を厳かに聞いたが、ウィーンはまさに国際都市と古典音楽の都が同居している。

 今回の目的は仲間たちとウィーンそのものを楽しむことであり、案内もしたかったが少々時間不足であった。旧市街の主たる建造物をバスの車窓より気忙しいばかりの熱心な日本人ガイドの説明で、リンクを周回しウィーンの雰囲気を味わうことができた。
宮殿  ウィーンの三大スポットを私の独断で言わせてもらうと次のようになり、今回、いずれも訪問できたことを嬉しく思う。
 一つはウィーンのシンボル、シュテファン寺院だ。旧市街中央に137米の尖塔とモザイクの大屋根がひときわ目立つゴシック寺院が印象的。
 二つ目はシェーンブルン宮殿、ベルサイユ宮殿に対抗して建てられたハプスブルグ家の夏の宮殿で、六歳の天才モーツアルトがマリアテレジアの御前で弾いたピアノ演奏は有名。
 そして、パリ、ミラノと並び世界三大歌劇場の一つである国立オペラ座。今回はヴェルディ作曲のオペラ「リゴレット」を鑑賞。

 今回私が初めて訪問したモーツアルト記念館(フィガロハウス)とベートーヴェン記念館では、両巨匠の苦難の跡が偲ばれた。フィガロハウスでは、私どもの四十年来の愛唱歌「アヴェ・ヴェルコム・コルプス」のモーツアルト直筆の原譜に対面したときは感激した。
 その他、各自夫々思い思いに見学されたと思う。美術史博物館、自然史博物館、カールス教会等。私は今回は王宮、ベルヴェデーレ宮殿やウィーン一番の繁華街ケルントナー通りを散策、但し日曜日のため、街は閉店中でショッピングは出来ず残念でした。

 最後にANAグランドホテルは最高の位置にあり、旅情を大いに高めてくれたこと間違いなく、お世話になった川脇忠君に心より感謝申し上げたい。


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