転校生の同窓会

渡辺(東郷)洋子

 

 今,はじめて東高の同窓会に出席し,楽しいひとときを過ごすことができ,私にとって忘れられない,すばらしい思い出ができました。
 2年間を東高で過ごし3年になった時,父の仕事の関係でしかたなく宮崎の高校へと転校して以来30年,東高はすっかり遠いものになっていました。私の心はいつも,小中高の8年間を過ごした長崎にあったのですが,卒業生でなければ同窓会には出席できないものと,転校生の淋しさを感じていました。ですから,同窓会の案内をいただいた時にはとてもうれしくて,その日が来るのを楽しみに待っていました。
 また,会場が雲仙であることも喜びの一つでした。長崎を離れて以来,これまで何回か長崎へ行く機会はあったのですが,雲仙まではなかなか足をのばすこともなかったので,何十年ぶりだったでしょうか。当日になり,同窓会がはじまるまで私の胸は不安と期待でいっぱいでした。覚えている人が果たして何人位いるかしら・・・・・・と。正直言って最初は名前と顔とが一致する人はほとんどいなくて,名札の助けを借りながら顔をじっと見てあの頃の面影を探し出すことに懸命でした。しばらくすると深い霧が少しずつ晴れてくるように,あの頃の懐かしい顔が次々に思い出されてきて,心も体も30年前の日々に戻っていくような気がしました。「お久しぶり」と挨拶を交わす時の皆さんのまなざしが特別暖かいのを肌で感じとても幸福でした。長年の想いが実現でき,「来てよかった」と心からそう思いました。二次会の楽しかったこと!! 30年ぶりに東高がまた近くなったような気がしました。楽しかった同窓会と皆さんの暖かい心と久しぶりの故郷の香りを満喫して長崎の旅を終えました。5年後の同窓会を楽しみにしています。お世話になった皆様,本当にありがとうござ いました。

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趣味と住まいと

10組 浅野 安人


asano

 先日は,久しぶりの同窓会に参加させていただき,しばしの間,昔に返ることができました。
 長崎を離れ,静岡に来てから,毎日のように富士山を眺めて暮らしているうちに,いつの間にか30年が経ちました。過ぎ去った時の流れは早かったようでもあり,また,ゆっくりだったようでもあり,不思議な気がします。
 さて,私の趣味ですが,大学に入ってから始めた弓道が第一番目です。途中で約10年のブランクがありましたが,ようやく2年前に五段に昇段,  目下のところ錬士を目指して練習しています。道場は自宅のほんの庭先といったところにあり,静岡の今村道場と言えば,全日本選手権で3回優勝した今村鯉三郎範士の,弓道界では有名な小道場です。もっとも,私が自宅を道場の横に建てたので,近いのが当然なのですが……
 また,6年ほど前についでに始めた囲碁のほうも,「週刊碁」の段級位コーナーに毎週応募して5年ほどで五段をいただきました。こちらのほうはほとんど実戦の経験はない,いわばペーパードライバーならぬペーパー碁打ちです。
 話変わって,現在の住居ですが,東海道は丸子(鞠子)の宿にあります。ここは,安倍川から国道1号線沿いに約2km,西南と北に小さな山に囲まれた,さながらミニ長崎のような感じの場所です。 近くには室町時代の連歌師の興したと言われる吐月峰柴屋寺,今川家の墓所のある誓願寺,戦国時代初期の山城の跡そのままの丸子城跡,宇津の谷峠を越える蔦の細道など古い歴史に囲まれています。また,秋は柿,冬は蜜柑,暮れから春先にか,けては苺,初夏はお茶それから桃といった具合に ,自然の産物にも恵まれ,まことにのどかな環境です。お陰様で,子供達は皆のんびりと育っていて,競争心に欠けるようです。とるろ汁で有名な丁子屋にもほど近いところですので,静岡に来られることがあったら,一度お立ち寄り下さい。

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故郷への郷愁

10組 松本 信自

matumoto

 人間は環境の変化を伴う新しい事には,まず嫌 がり不安がる一方,慣れ親しんだ懐かしい古い事 には,何とも言えない安らぎを感じる。同窓会や 故郷が誠に心地良いのも,この安らぎのなせる業 である。
 先月は雲仙で10年振りの(富貴楼以来)友と過 ごす安らぎを楽しませてもらった。幹事の皆様, 本当にありがとうございました。
 私は父親の仕事の関係で,小学5年までに九州 各地の学校を6校経験している。そういう関係で 私にはたくさんの故郷があるのだが,やはり一番 長く過ごした長崎への郷愁は格別である。
 第一に,どんげんしよっとの響きは心地よい。 長崎を離れて関東に10年,関西に16年と長くなる 私には,小中高を通しての長崎弁の訓練が不十分 なためか,その長崎弁を自分では使いこなせなく なったのは残念で仕方がない。
 第二には,静かな海と急勾配の山が隣りあって いる箱庭的景色も素晴らしい。と同時に異国情緒 溢れる街並みは何とも言えない。その影響か,今 似たような町の神戸に住んでいる。
 第三には,食べ物が安くて旨い。魚がまず,新 鮮。チャンポン,皿うどんも安くて大変旨い。魚 については隣の明石漁港からの魚で我慢している。 皿うどんは,長崎の母から時々送ってもらってい る即席で我慢している。チャンポンはそうはいか ないので,先日長崎滞在時に3回も食べて,普段 のウップンを晴らした。
 事この様に生活すべてに故郷長崎への郷愁が強い。最後にもう一つ大事なものがある。四季です。 私は今年4月まで4年間,常夏のシンガポールで 過ごしていたため,季節の移り変わる素晴らしさを味わえませんでしたが,今は少しずつ涼しくなる日本の秋の気配を大いに楽しんでいます。日本 の四季は,空気の香り,空の色と模様,木々の輝きすべてが変化します。そして,長崎ではその全 体に包まれながら季節の祭りがあります。春のペーロン,夏の精霊流し,秋のおくんち,冬の正月。 今は,少し遠いので連続で長崎の四季は味わえませんが,仕事の暇を見つけて季節のスナップでも見に故郷へ帰りたいと考えています。長崎在住の皆様,その時は是非お逢いしましよう。


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