乗鞍・上高地バスハイキング
2011−10−13〜14
観光バスで秋の乗鞍岳へ 10月のハイキングは紅葉ダイナミックハイライト乗鞍・飛騨高山・上高地と奥蓼科横谷渓谷2日間と銘うった一泊旅行。13日、さむらい会13名の仲間と観光客を乗せたツアーバスは、朝7時に東京駅を発ち都内高速道路を抜け中央自動車道に入る。 途中いくつかのサービス・エリアで休憩を取りながら、松本ICで高速道を下りて、飛騨高山へは松本ICからは安房隧道を抜けて高山へ続く国道158号線野麦街道に入るのだが、今回は乗鞍岳の紅葉を愛でるツアーなので158号線を外れて乗鞍岳山頂へのアプローチ道路である乗鞍エコーラインに向かう。 乗鞍岳山頂までのエコーラインの山肌の紅葉は幾層にも重なり合い、赤や黄色の紅葉の見事さは勿論であるが、その紅葉の間に緑の木々とダケカンバの白い幹が相まったモザイク模様が秋の陽に照り映へて一層彩りが鮮やかになる。乗鞍山頂まで続く右に左へとなだらかに、いくつも幾つも続くヘア・ピン・カーブを登りきると夏でも雪渓が残る日本道路最高地点2,715mの乗鞍岳・畳平に到着。バスを降りると気温は5℃と寒く、小雪が舞う。 乗鞍岳主峰の剣が峰を背にして山頂から北に目をやれば、遥か向うには厚い雲海を突き破り北アルプスの峰々が聳え、その頂を望む事が出来る。北アルプスの峰々の大パノラマである。蝶ケ岳、常念岳、前穂高岳、その向うには北アルプス最高峰である3,190mの奥穂高岳、西穂高岳。槍ケ岳の山容は一段と神々しさを感じさせる。その山峡の手前に見えるのは、あす訪ねる上高地の焼岳の頂上である。暫くすると、瞬く間にその山々の麓は、湧き上がる雲で覆い隠されてしまう。しかしながら、一万尺、北アルプスの山々の頂は、尚も雲の上に悠然と突き出ている。 乗鞍岳を満喫した後、今日の宿がある飛騨高山へ乗鞍エコーラインから岐阜県側の平湯峠を経由して再び国道158号線に戻り、飛騨高山へと向かう。秋の陽は未だ高い。岐阜県側の紅葉も長野県側にも負けず劣らずの景色であり、バスの窓から紅葉の海を心ゆくまで楽しめた。途中の休憩場所「道の駅・飛騨赤かぶの里」には、この地の特産「飛騨赤かぶ」が店先から奥の方まで処狭しと並べられている。一路、高山へ。 飛騨高山の町より 「お元気ですか?いま、飛騨高山に来ています。山挟の自然豊かなとても静かな町です。通りから一歩入ると、趣のある古い家々、民芸品店やお土産屋さん、喫茶店等が並んでいます。やけに酒蔵が軒を連ねているのが目につきました。通りを抜けると、宮川に掛かる赤い中橋があり、そこから少し足を伸ばせば雪国から開放される春と収穫を終えた紅葉に彩られた秋に催される雅な「高山祭り」の屋台が観光客向けに飾られた「高山祭屋台会館」を見学する事が出来ます。小京都と云われるだけに、格子戸の低い軒先の家並みが整然と碁盤目の様に町が区切られ、軒下の側溝には小川の様な流れがあるのには驚きました。次は高山祭りが催される春か秋に訪ねてみたいと思っております。今日はこの町で宿をとり、明日は上高地へ向かう予定です。次にお逢いした折に詳しいお話を楽しみに待っていて下さい。」 |
乗鞍エコーライン肩の小屋バス停(雪渓がみえます)
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畳平駐車場から魔王岳をめざして |
もうすぐ魔王岳 |
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魔王岳頂上 (背景は乗鞍スカイラインと穂高連峰) |
魔王岳頂上、2764メートル |
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頂上から穂高連峰を望む(左端は槍ケ岳) |
平湯峠下る途中の紅葉 |
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乗鞍岳から飛騨高山のバスの窓より |
乗鞍岳から飛騨高山のバスの窓より |
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高山祭屋台会館の展示 |
高山祭屋台会館の展示 |
高山の町並保存地区、上三之町の入口付近 散策スタート!
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飛騨高山の町散策 |
飛騨高山の町散策 |
宴会(?)のひとこま
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上高地に到着後散策コースをチェック中 |
こんな人もいました |
上高地のシンボル、河童橋を背景に
上高地 河童橋の上で
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高本君と原田君 |
梓川と晴れていると穂高が見えるのに・・・ |
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河童橋下流の梓川右岸 |
ウエストン碑前で前田さんと藤尾さん |
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田代橋の上で高本、藤尾、前田、呉のみんさん |
田代橋〜大正池の遊歩道 |
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上高地帝国ホテル玄関前 (雰囲気のある喫茶室でコーヒーなどをいただきました) |
奥蓼科渓谷の霧降の滝 |
上高地にて 10月14日。2日目は早朝に食事をとり8時出発のツアーバスに乗り込む。本日のハイライトである日本で初めて特別名勝に指定された「中部山岳国立公園・上高地」の散策である。上高地へのルートは、昨日の国道185号線安房隧道を通り、梓川を渡り釜トンネルに入る。その隧道を抜けると焼岳の噴火によって梓川が堰き止められ立ち枯れた木が湖の中に見える「大正池」である。大正4年の噴火と云うから、およそ100年前の事である。上高地は釜トンネル(中の湯ゲート)から「CAR-LESS Resort上高地」で通年を通しマイ・カーは通行時間を規制されており、個人で上高地へ入るにはここからシャトル・バスに乗り換えるか、エコ・タクシーに乗り換えて入るしかない。我々はツアーバスを終点の上高地バス・ターミナルで下車し、上高地のランド・マーク的存在である「河童橋」まで歩いて5分。この橋の上で穂高連山を背にして、皆で記念写真を撮る。多くの観光客が行き交う河童橋は「銀座通り」さながらであり、賑やかさはこの上ない。8時に出発した高山から平湯経由で、この上高地までの走行距離は思ったより短く所要時間は2時間とは掛からなかった。 これからの約3時間ほどの上高地散策に備えて全員がバス・ターミナルで足、腰の筋肉を伸ばすストレッチを行う。この後は河童橋から梓川上流の明神池へ向う組と下流の大正池へ向う組とに分かれ上高地を楽しむ事になる。『天候は午前中、陽が射し秋の行楽日和となるでしょう』と昨夜の予報で報じてはいたが、「山の天気は変り易い」と山男、山ガールからのアドバイスで雨具を用意する。 明神池を目指したメンバーは白樺、蔦、楓が紅葉した木々の間から、梓川の流れが見え隠れする右岸道を歩く。これまで穂高連峰への登山者達が踏み固めた道は程よく整備されており、だらだらした道が続く。しばらく行くと、川沿いに朽ちて立枯れの木々が「岳沢湿原」の中に現れる。絶好の写真や絵になる様なベスト・ポジションの風景が見えて、多くの人達が絵を描き写真を撮っている。河童橋から明神池までは、凡そ一時間くらいの所要時間である。途中、北アからの梓川に流入する湧き水、瀬音激しい小川等を眺めていると、時が経つのを忘れてしまう程の秋の輝く景色を楽しむ事が出来た。なおも歩き続けると、瀬音が大きく。遊歩道の木々が切れ込み、薄陽が射し始め、目前には広い川に幾筋もの流れがあり、川肌が白く光って見えてくる。明神池までは近い。そろそろ穂高連峰も見えてくる頃である。しかしながら、霧が湧き始めてその頂を覆ってゆく。ガイド・マップによると明神橋が前方に現れ、そこを左に入れば目的地の明神池のはずである。小雨が降り始めて穂高連峰は霧が深い。しばらく歩くと広い道に出て明神池に出る。森の中に静寂さが宿った穂高神社の佇まいの奥に、清涼な水を湛えた神秘的な明神池がある。一の池、二の池も明神岳の土砂が湧水を堰き止めて出来た池である。穂高神社に参拝したあとしばらく休憩し、明神橋へ向かう。 明神橋を渡り徳沢小屋まで行けば、前穂高岳東壁や奥又白谷を眺められる。この東壁が井上靖の小説「氷壁」の舞台である。更に行けば涸沢に入り、そこから北穂高岳―涸沢岳―奥穂高岳―ジャンダルム−西穂高岳への縦走ルートを辿る事が出来るのだそうな。その穂高連峰の雄姿を眺めたくて、明神橋までやっては来たがその思いは届かず残念であった。雨の中、明神橋で記念写真を撮り終えると帰りのバスの時間が気になり始め、帰りは左岸道を河童橋目指して一目散に歩く、歩く。幸いにも、この左岸道は下り道であり、殆どが平らの土であった。右岸の紅葉を垣間見る事ができる。河童橋の合流点に到着したのがバス発車時間の20分前くらいであり、河童橋―右岸道―明神池―明神橋―左岸道―河童橋の一周散策は少し疲れはしたが、記憶に残るトレッキングとなった。 蓼科中央高原・横谷渓谷 上高地を後にして、今回最後の錦秋の紅葉を求めて横谷渓谷へ向かう。バスの心地よい振動が、タフな山男と山ガールの疲れた身体に快い眠りを誘う。朝の上高地までは、賑やかな車内であったが、今は静かな休息の時である。小一時間ほど走ると窓は、時雨の様な雨で濡れている。薄暮のバスの外には、もうすっかり刈り取られた蕎麦の畑が見られピンク色の蕎麦の花が咲いた畑も見える。中央道諏訪ICを下りて横谷渓谷へ、蕎麦処の信州路に入った。奥蓼科の横谷渓谷は、信州随一の紅葉の名所とガイド・ブックには書かれてはいるが、訪れた時間が悪かったのとその上小雨で濡れた紅葉の魅力は半減されていた。むしろ「横谷渓谷」と呼ばれている山道は素晴らしい。その横谷渓谷にはトレッキング・コースに沿っていくつかの滝がある。夏の涼しさは勿論であるが、冬はその滝が氷結するらしい。晴れた日に訪ねたら、魅力的な景勝地であろうと思った。 バス駐車場からはトレッキング・コースを楽しめる。「霧降の滝」までは上流に向かい15分くらいの平らな山道をしばらく歩くと山側に屹立した巨岩が、そして深い渓谷には轟々と響く激流の音を聞くことが出来る。健康促進のマイナスイオンが霧降の滝には20,000個くらい有るという。バス駐車場から反対に5分程下流に歩くと「乙女滝」がある。ここも20,000個のマイナスイオンを感じる事ができるそうだ。マイナスイオンについてガイド・ブックに説明があったが、マイナスイオンの単位個数は空気1ccあたり1,000個あり、効能としては新陳代謝が促進され快眠を得られるという効果もあるとの事。いままで、その効果を実感した事は無いが。 蓼科中央高原・横谷渓谷を後にして中央高速道に戻り一路帰路に着く。この二日間のバス・ツアーはいかがでしたか?と聞かれたら、『気の置けない仲間とのバス・ツアーは、たったの二日間であったが、この上も無く楽しかった。今度はいつ?どこへ?』とこう答える事ができる。 去年は関西さむらい会の皆さんから、優雅で妖艶とも云える京都洛北の紅葉を楽しませて頂きましたが、今年のこのツアーでは日本アルプスに抱かれた山々の野性的な紅葉を心ゆくまで楽しむことが出来た。この次の秋を迎える時は、いずれの地の紅葉を楽しむ事が出来るやら……。そのためには、これからもカラダとココロを鍛えていかなくては。 葛野 純一郎 記 |
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上高地岳沢湿原 |
明神池への途中へ |
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明神池への途中へ |
明神池への途中の紅葉 |
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明神橋上で |
明神橋上で |
写真撮影 : 葛野 純一郎 ・ 呉 信裕